「夜更かしは賢者の仕事」という言葉がありますが、科学的な視点から見れば、これは必ずしも真実ではありません。実は私たちが寝ている間、脳は休憩どころか、一日中で最も活発に働いています。とりわけ、「REM(Rapid Eye Movement)睡眠」は、ストレスや不安を抑制し、日々の感情を整理する重要な役割を果たしています。

しかし、厚生労働省の2017年の調査によると、日本の成人の4人に1人が睡眠障害の症状を訴えています。これは日本人のメンタルヘルスにとって大きな問題であり、無視することはできません。睡眠とメンタルヘルスの関係性について深く掘り下げ、自分自身の睡眠習慣を見直すことで、メンタルヘルスを改善する方法を見つけてみましょう。

驚くべき事実:REM睡眠とメンタルヘルス

私たちは平均的に24時間のうち約8時間、つまり3分の1を睡眠に費やします。これは脳が休息し、次の日の活動に備えるための時間ですが、実際にはその間にも脳は様々な作業を行っています。

睡眠は大きく分けてREM睡眠とノンREM睡眠の二つのフェーズに分かれます。ノンREM睡眠はさらに3つのステージに分けられ、深い睡眠から浅い睡眠へと遷移します。その後、REM睡眠に入ると眼球が活発に動き、ほとんどの夢が見られます。

このREM睡眠がメンタルヘルスと密接に関連しています。これは夢を見るフェーズとしてよく知られていますが、その役割はそれだけにとどまりません。脳科学者によると、この段階で脳は日々の出来事と感情を処理し、ストレスホルモンのレベルを調整し、不安を低減させます。

驚くべきことに、REM睡眠の間に脳は一日中で最も活発に働き、一日の情報を整理し、問題解決のための新たな視点を提供することが示されています。さらに、睡眠の研究によると、私たちが新しいスキルや情報を学ぶとき、それは「眠っている間に」実際に固定され、脳内で統合されます。これが、「寝ると物事が整理される」という感覚の科学的な裏付けです。

しかし、不足した睡眠時間や質はREM睡眠の期間を短縮し、結果として心の健康に影響を与えます。長期的な睡眠不足はうつ病や不安障害のリスクを高め、注意力、記憶力、学習能力を低下させる可能性があります。研究によれば、毎晩7時間未満の睡眠を取る人は、十分な睡眠を取る人に比べてうつ病のリスクが3倍高くなります。

「SAFE」:4つのステップで睡眠を最適化するフレームワーク

良い睡眠は体と心の健康にとって非常に重要です。ここで紹介する「SAFE」フレームワークは、睡眠を改善しメンタルヘルスを向上させるためのものです。

  1. Schedule (スケジュール): 毎日同じ時間に床に就き、同じ時間に起きることで体内時計を調整し、自然な睡眠パターンを作り出します。体内時計を整えることは、ホルモンの分泌や体温調整など、体のさまざまな機能を正常に保つために重要です。ここでのポイントは、「週末だけ遅くまで寝ていれば大丈夫」という考え方は科学的には誤りであるということです。定期的な睡眠習慣を持つことが健康的なライフスタイルの一部であり、これにより体内時計が正常に機能します。
  2. Ambience (環境): 寝室は暗く、静かで、適度な温度に保つことが重要です。また、寝具も快適であるべきです。特に、光はメラトニンという睡眠ホルモンの分泌を阻害するため、暗闇が最良の睡眠環境を作り出します。さらに、ノイズも睡眠の質を損なう一因となります。静かで心地よい音楽や白色雑音を流すことで、これを改善することができます。
  3. Food & Drink (食事と飲み物): 寝る前の数時間はカフェインやアルコールの摂取を避け、トリプトファン豊富な食事(例えば、トルコ、チーズ、卵)を摂ることが良い睡眠を促します。カフェインは興奮作用があり、睡眠を妨げます。また、アルコールは一時的に眠気を引き起こしますが、REM睡眠を阻害し、睡眠の質を下げます。
  4. Exercise (運動): 定期的な運動は良い睡眠を促しますが、寝る前の数時間は避けることが推奨されます。運動により体温が上昇し、それが下がるときに眠気が訪れます。しかし、寝る直前の運動は体温を上昇させ、その結果眠りにくくなる可能性があります。

驚きの事実を知り、このフレームワークを活用することで、あなたの睡眠とメンタルヘルスを改善する道筋が見えてくるでしょう。心と体が必要とする休息を手に入れるための一歩として、今晩からこれらの方法を試してみてください。良質な睡眠を手に入れることで、日中の活動力を高め、ストレスを軽減し、全般的なメンタルヘルスを改善することができます。

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